布団から

考えていることの記録です。

ひとりとコロナ

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公園のベンチ、花見自粛ということで封鎖されていたが花が散ったら封鎖が終わった。


 

みなさん元気にしていますか。

知らない人にもそういう風に聞きたくなるような毎日です。

 

最後に人が集まるイベントに参加したのは3月20日。あの週末がイベントを決行するにはちょうどギリギリのタイミングで、万全に気をつけて開催します!という雰囲気だった。それから1ヶ月が経とうとしている。


毎日聞こえてくるのは政治家の発言や感染者の数字だが、細切れな情報や怒りや悲しみがどんどん自分の中に注ぎ込まれることは思っている以上に体力を奪っていく。万事考え込みすぎる性質の自分にとっては、とても苦手なことだった。体力がない。

医療従事者でもない、特にお金も持っていないただの一人暮らしの28歳である自分に何ができるのだろうか。いまどう行動するのが正解なのか、何にも自信が持てない中で、私が無理なくできることは、疫病が人間にとってどういうものなのか、様々なスケールで捉えたものを読んでいくことだった。

 

古今東西の思想家が書いた「コロナ後に世界がどうなるか」「過去の人間はどう疫病を克服してきたのか」といった高い視点の文章を読みながら、同時に個人にとってのコロナ、自分が感染した、給料が減った、仕事がなくなった、という自分の現実と距離の近いものにも触れる。そして、この状況や、この感染症が自分にとってどういうものなのかを構築していく。それが今の自分にとって必要で、意味のあることのように思えるし、現実を掴んでいる実感が得られる。

 

ここには、後者の方「個人にとってのコロナ」についての文章をクリップしておく。

 

1.だれかとコロナ

2.わたしとコロナ

2パート構成です。

 

1. だれかとコロナ 

 

・「たまむすび」リスナーの皆様へ ~赤江珠緒さんからのお手紙(全文)

http:// https://www.tbsradio.jp/474866

家族が感染した時に、具体的にどういう必要・心配があるのか詳しく書かれていた。
曖昧な恐怖ではなくて具体的な備えが書かれていて読むだけで少し心強さを感じる。一方で、2歳の子供のいる家庭で両親ともにかかったら…という切実な不安も記されていて、赤江さんの番組のリスナーなので、近しい人のこととして受け止めた。(今日赤江さんの状態が変わってしまった、待つしかできない。)

 

・一人暮らしで新型コロナウイルスにかかった話

https://note.com/r000/n/n815ee4ed473e

こちらも、同じ一人暮らしの人間としてかなりリアルな感じでわかった。これがかなり軽症な方だとはわかってますよ、でも自分がかかって死ぬところまで想像するのはただ怖くて縮こまってしまうから、今私が飛ばせる想像力の中で一番現実的なのがこの記事に書いてあることだった。食料の備蓄を少し増やしたりしました。

 

・都内一人暮らしオタクがコロナで経済的に死んでいる話

https://anond.hatelabo.jp/20200417133341

読み終わった後、とにかく色々な制度で福祉と接続して、ひとかたまりのお金なり安心なりを手に入れて、一息ついてくれ〜と思った。

私は、貧困に慣れてしまっていると言っていいのだろうか、会社員をやめてから、自分のことを、お金がたくさんある生活よりも時間がたくさんある生活の方が向いている人間だと思うようになったりして、(もちろんお金は欲しいが…)コロナで仕事がなくなってもなぜか精神的にゆとりがあった。でもやっぱりお金が足りない月には請求書を見ながら気持ちがきゅうきゅうになるので、このブログを書いた人は今きついだろうなと想像している。

自分は体調を崩して会社員をやめたので、会社員として毎日働いている友達が羨ましくて仕方ない時もあったなと思い返す。ふだん仲良くしている友人たちの中で、私の貯金と稼ぎが一番少ない気がしているが、友人たちとの繋がりでそれを気にしたり分断を感じたことは少ないから、ラッキーだなと思っている。経済状態に大きな格差があったら人は繋がれない気もしているけど、それでも、別の価値で繋がることは可能であると信じている。

 

インターネットで目にした記事はこんな感じでした。

 

2. わたしとコロナ 

私はといえば、近隣で唯一開いている新刊書店でバイトを始めた。

もともと、在宅の翻訳や通訳の仕事をしていたが、夏までの期間はこれで過ごそうと予定していた唯一の大型の仕事がなくなってしまった。(芸術分野のもので先の見通しもまだわかっていない。)

年始ごろから、長年ちゃんと向き合えていなかったうつ病を治療しようと決めて、仕事の量を減らしていたところだったから、これで仕事が何にもなくなった。


映画や美術や本や演劇、そういうもので生きているので、3月は続々と中止になるイベントや閉まる場所にただただ悲しくなったり怒ったりしていた。しばらくはとにかく毎日映画館に行っていたが、4月8日に東京の映画館がほぼ全て閉まった。同じタイミングで駅ビルや商業施設に入っている書店も閉まった。小さな古本屋などは細々とやっているところが多かったように思うが、東京都が休業要請協力金を出す条件として設定した4月16日からは、休業する店がぐんと増えた。

 

そういう中で、唯一開いている新刊書店があって、随分頼もしく思った。ホームページを見たら求人が出ていた。もともとその書店のことが好きだったし、この状況で新しく在宅の仕事を探す胆力もないし、出版社で働いていた頃から書店の仕事に憧れもあったし、といろんな言い訳が思いついたので、応募してみた。遠くに住んでる母には内緒にした。

 

この書店を頼もしいと思っている人は私以外にも居て、店は混雑している。自粛しろと言っているのにね。上層にいる人たちは迷いながらも、色々な対策を打ってお店を開けている様子だった。営業時間を短くし、スタッフは全員マスクをつけ、入り口にはアルコール消毒液を設置。長時間滞在は控えるように掲示がしてある。人手が足りていないらしくすぐに採用してもらった。

 

もし自分が感染したら、書店で働き始めたことを後悔するかもしれないが、それでも、本屋さんが開いていてるということが自分のこれからにとってとても大事なことのように思えたし(同時に変な正義感だなとも思ってる)
家でじっとしていることに耐えられなかった。社会に全く必要とされていない、自分の持ち場はないと感じることで、うつは加速するし死にたさが募る。今外出しなくていいなら外出しないのが一番だとも思うが、仕事をしていないというだけで死にたくなってしまう病気を患っている。やる理由もやらない理由も様々頭に思い浮かぶが、うるせ〜と思って消す。

 

採用されたときは、人から新しい仕事を与えてもらっているということが久しぶりだったから、すごく嬉しかった。続けられますように。

 

 

バイト1日目エピソードを最後に。

①おじさんに「zoomの本ありますか?」と聞かれた。

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リアルな質問だと思った。zoomの本はありませんでした。来月くらいには出るかな。

zoomと本を繋げる回路が私にはなかったから、おじさんのリアルなところを教えてもらった感じがした。

 

②おばあさんが、店頭に置いてあった「UTAET mini」を買っていった。

 

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UTAETとは、家で歌うための道具だ。これをつけて歌えば、自分の声は聞こえるけど周りには漏れませんよ!という代物。これが本屋の店頭に置いてあることは驚きだった。

歌いたい、踊りたいという気持ちはカラオケやクラブに行けなくても募っていき、私も家で一人で歌ったり踊ったりしているのでおばあさんに共鳴した。

https://mydream.co.jp/commodity/558

(サイトによると、全国の書店やゲオで売っているらしい。)

 

色々な人の現実と接続することで、この状況が手触りのあるものになっていく。

誰かに怒られたり呆れられたり嫌われたりすることを恐れながら、これからも更新していこうと思う。数ヶ月後にこれを読んで、のんきだったなと思ったりするのだろうか。